真夏の日差しが窓から差し込む。
キラキラと光るのは水槽の水。
ぽこぽことポンプから出る一連の泡。
薄らと肌に浮いた汗。
小さいピアス。
金色の髪。

「あちい…」
「コータ見てると暑い」
「なにそれ」
「いや、なんか、熱気出てる」
「ひどい」
「あはは」

着ているものは汗を吸って軽く湿っていた。
圧力のような熱を持った空気が二人を包んだ。

「クーラー何度?」
「25度」
「マジ?暑いんですけど」
「コータ居るから下がりづらいんだよ」
「いじめ?」
「愛だろ、愛」
「いらん」

タケオはリモコンで設定温度を2度下げた。

「コータ」
「何、暑い。くっつかないで」
「いーじゃん」
「よかない」
「いいからいいから」
「やーだ」

二人でいてもやるべき事は全てやった。
ゲームも、読書も、食事も、昼寝も。

「タケオくん暑い」
「コータぬるぬるする」
「…シャワー浴びてくる」
「一緒に入ろー」
「タケオくんキモイよ」
「コータくーん」

風呂に向かうコータの背中を見送って、タケオは一人、哀しそうに微笑んだ。

まだ大丈夫。

いつか自分の押さえが利かなくなったら、コータはどんな顔をするのかな。
金髪をキラキラさせていつものように笑っていてくれるかな。
俺の事を好きになってくれるかな。


まだ大丈夫。



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